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フロー測定システム

1. バルブ切り替え方式
 最も安価で汎用的な構成としてインジェクタを用いてサンプルを注入する右図のシステムを提案します。サンプルのない場合、系を洗浄する場合はバルブがインジェクタ側にセットされ、左端のキャリア溶液はインジェクタやESRキャビティ内の偏平セルを通って右端のドレインまで一定速度で送液されます。そこにインジェクタからサンプルがロードされるとサンプルはキャリア溶液に乗って偏平セルの方へ送られます。インジェクタのロード信号はPCへ伝えられ、ちょうどサンプルが偏平セル内に到達したときにバルブがドレイン側に切り替わりサンプルが偏平セル内に固定されます。この状態でESRスペクトルの測定が行われて必要なESR信号のみをPCへ取り込みます。この際必要ならばLampによる光照射制御を同時に行います。ESRスペクトルの測定が終了するとバルブは再びインジェクタ側に切り替わり系全体がキャリア溶液により洗浄されます。
 ESRキャビティ内にサンプルを固定する際にポンプを止めるという選択肢もありますが、ポンプには慣性がありPCからの停止信号によって即座に送液が停止せず、またサンプルのキャビティ内停止位置にある程度ばらつきを生ずるため、切れの良いバルブ切り替えを採用する必要があります。
 インジェクタの代わりに右図のようにオートサンプラを系に挿入することができます。PCによる制御においてはインジェクタのロード信号の代わりにオートサンプラからのサンプルインジェクト信号が得られればインジェクタ方式の系と全く同じ動作ができ測定の自動化が貫徹されます。最近では複数の溶液を混合して系にサンプルを注入できるオートサンプラも開発されており、それを用いればXanthine / Xanthine Oxidase系によるSuperoxide生成など、不安定常磁性種の生成反応がサンプルの混合によってイニシエートされる場合もすべて測定を自動化することができます。
 また、オートサンプラはポンプを内蔵するとともに系の洗浄ができることから、オートサンプラのファームウェアを書き換えサンプルをESRキャビティ内に配置することに特化したオートサンプラを株式会社フロムに開発していただきました(Sample Placeer(仮称)右図)。これを用いると前段のデガッサ・ポンプ・バルブが一切必要なくなりますので、最初から多数のサンプルの自動測定を目的としている場合は、このSample Placerの採用をお勧めします。
 以上のような測定の流れはWIN-RADのフロー測定コンポーネントをはじめとする当社の各種ESR測定用ソフトウェアによって完全に自動化されています。

<PCインターフェース仕様>
 PC拡張ボードまたは拡張ユニットであるA/Dコンバータを介してESRスペクトルのアナログ信号として取り込む日本電子((株)JEOL RESONANCE)製ESR分光計の場合は、A/Dコンバータに付属している汎用パラレルI/O信号を用いてアクセサリの制御を行います。この方法では信号線が足らない場合や、ESR信号をデジタルデータとして受信するMagnettech社製のESR分光計では、USB接続のインターフェースBOXを当社が用意してアクセサリを制御します。

2. フローインジェクション方式
 方式1.ではサンプルをキャビティ内に固定してESRスペクトルを測定しますが、本方式では常時キャリア溶液のフローを維持しながらESR信号を測定します。外部磁場を注目するESR信号のピークトップに固定し、そのESR信号の時間変化をモニターします。それにより、常磁性種がESRキャビティ内を通過する際に信号がピークを形成し、HPLCトレースのようなチャートを得ることができます(右下図)。
 このピーク下の面積を定量指標として使用することにより高感度で再現性の高い常磁性種の定量を行うことができます。この測定の1サンプル当たりの測定時間は洗浄時間を含めても40秒程度でオートサンプラの利用により多数のサンプルを高スループットで定量することができます。
 サンプル自身が安定常磁性種を含むものならばオートサンプラにサンプルをセットするだけでこの方式の多数自動定量を実現できますが、常磁性種の発生系が必要な場合には右上図のようにESRキャビティ直前の流路に光照射装置を挿入したり、オートサンプラを複数溶液の混合可能なものに変更します。また、オートサンプラとキャビティの間に分析カラムを挿入することにより、ESR検出のHPLCシステムが出来上がります。
 当社のソフトウェアWIN-FIAはフローインジェクション方式による常磁性種の自動定量のために特化したものです。PCインターフェース仕様については1.と同じです。

3. ストップドフロー方式
 2液の混合によって化学反応が開始される系において発生する短寿命の常磁性種を補足したり、その過渡的変化を追跡するためには、高速で2液を混合してその混液をESRキャビティ内のセルへ注入する必要があります。右図のようなストップドフローシステムがこの要求を満たします。
 2本のシリンジにセットされた反応液を高圧ガスで押し出して混合しそのままESRセルへ混液が注入されます。高圧ガス出力は電磁弁制御装置(Valve Controller)による電磁弁の開閉をPCで制御することにより行います。シリンジ内反応液の押し出しが終了した瞬間にシリンジの横にある接点が短絡してValve Controllerへ信号が送られます。PCは混合開始前からESR信号をモニタし、接点短絡信号を反応開始時間としその後のESR信号の変化から化学反応を追跡します。また、反応開始後目的とする常磁性種の量が最大となる点を決めた後、繰り返しその時点でのESRスペクトルを高速掃引で測定し積算することにより、短寿命で低濃度の常磁性種のスペクトルを捕捉することが可能となります。
 当社のソフトウェアWIN-EKSは、このような短寿命・低濃度の常磁性種を捕捉する、または経時変化を追うために最適のソフトウェアで、3種類の測定法を用意しています。また、反応開始を光照射で実現できる場合にはストップドフローシステムの代わりに光照射置をWIN-EKSにリンクさせて過渡的反応を追跡することが可能です。PCインターフェース仕様については1.と同様の設計となります。