・タッチパネルが故障した日本電子製ESR分光計(TEシリーズ)のタッチパネル機能をWindows上のソフトで置き換えることによりTEを復活させます。
日本電子製ESR分光計TEシリーズではタッチパネル式のディスプレイが採用されていますが、老朽化に伴いタッチパネルがブラックアウトして使用不能に陥る例が多発しています。ユーザの入力がタッチパネルを介して行われるため、タッチパネルが故障するとその他のTE分光計自体の動作が健全であるのに使用不能となります。この問題についてJEOL
RESONANCE(株)([旧]日本電子。以下JRIと称す)は、採用したタッチパネルの製造業者の消滅により修理対応ができませんでした。そして本システムが完成するまでは、ユーザはTEを廃棄するか、JRIが提唱する高価な代替システムを中古のTEに付加するかの選択を迫られていました。
そこで当社はユーザーのタッチ操作信号がTE内蔵のPC98X1へRS232Cを介して送信されることに注目し、操作信号をWindows PCから擬似的に送信することによりタッチパネルを必要としないシステムを構築することが可能と考えました。
右上図のように従来のTEシステムの構成では、タッチパネルが現在の実行状況を表示するディスプレイ機能とユーザ入力の両方の役割を持っています。一方、本システムではタッチパネルを別のWindows
PCと汎用のPC98X1シリーズ互換ディスプレイに役割を分けて置き換えます。互換ディスプレイにはPC98X1からのディスプレイ内容を表示し、このディスプレイ表示を見ながらWindows
PCを操作してタッチ操作信号をPC98X1へ送信します。これによりタッチパネルが故障したTEにおいて継続して使用することが可能になります。
本システムの基本構成は、Windows PC、およびタッチパネルから行うすべてのユーザ入力をWindows PC上のマウスクリック操作に変換するソフトウェアTouch
Panel Deceiverと、PC98X1互換のマルチシンク液晶ディスプレイから成ります。必要ならばWindows PCとPC98X1を接続するシリアル(RS232C)ケーブルまたはアダプタを提供します。使用するWindows
PC(OS=Windows XP/Vista/7/8/8.1/10)にシリアルコネクタの空きがない場合には、USB-RS232C変換アダプタを提供してシリアルコネクタを増設します。また、当社が供給可能な液晶ディスプレーはそのケーブルのRGBコネクタ形状が3列のDSUB15ピンで比較的古いタイプのPC98X1には直接接続できないため、変換アダプタが必要となる場合があります。
以上の必要なパーツのうちユーザが既に所持しているものについては当社からは供給せず、ユーザのリソースを最大限有効活用するようにいたします。
(右図は、TEの測定動作時のTouch Panel Deceiverの表示)