1. Magnettech社製7桁周波数カウンタ FC400
Magnettech社製の7桁周波数カウンタを輸入販売致します。172x207x43mm(WxDxH)の小型軽量ボディで1秒間隔でX-Bandマイクロ波の周波数を7桁精度で計測できます。
X-Bandのマイクロ波の計測に特化していますので廉価に提供できます。RS232Cインターフェースにより、容易にPCへの周波数入力を実現できます。
2. Mn標準試料と周波数カウンタによるg値の計測
Mn標準試料(Mn2+ in MgO)による6本のESR信号のうち低磁場側から3番目および4番目の信号(それぞれg=2.034およびg=1.981)と計測したマイクロ波周波数の値を用いてg=2近辺の常磁性種のg値の決定がよく行われますが、高々小数点以下3位の精度しかなく、常磁性種のg値を議論するには精度不足です。また、Mnの大きな超微細分裂は周波数に依存するため上述のようにMn信号に固定のg値を割り当てることも精度の低下を招きます。
日本電子はMnの信号の周波数依存性を克明に検討し、スピンハミルトニアンの2次摂動項まで考慮に入れたMnの信号位置(共鳴磁場)が
H(mI) = H0 -AmI -
(A2/2H0){I(I+1)-mI2}
と表され、g0=2.00094, A=8.677mTとすると6本の信号の共鳴磁場を最小誤差で予測できることを示しました。ここで、H0 = hν/g0β
でg0はMn2+固有の真のg値です(HはMnのESR信号の共鳴磁場、mIはMnの磁気量子数、I=5/2)。これらの式を用いて計測されたマイクロ波周波数値から2本のMn信号位置の精確な共鳴磁場を逆算し、これらを基準として対象となる常磁性種の共鳴磁場を決定することにより、小数点以下5桁のg値を決定することができます。この場合精確な磁場を測定するためのNMR磁場測定器は必要ありません。
当社が供給するESR測定・解析用ソフトウェアWIN-RADではこの方法によるg値の算出を測定直後に自動で行います。日本電子製ESR分光計のうちFE、RE、FR80など内蔵の周波数カウンタのない機種、およびMagnettech社の分光計でWIN-RADの自動g値計測を行うには、上記1.または2.の周波数カウンタが必要です。また、日本電子製(JEOL
RESONANCE製)TE、FA、Xシリーズの場合は内蔵の周波数カウンタを利用したg値自動計測を行います。